野草の力 よもぎ

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意外と身近なところに生えている野草の代表と言ってもいいよもぎ
わざわざ山に分けいらなくても、ちょっとした小道の脇にもさもさっと生い茂っていたりする。

日常の中に寄り添ってくれる野草。
お灸やもぐさにも使われるよもぎは、止血効果があり、白血球や赤血球を活性化して自然治癒力を上げてくれるのです。
そんなよもぎのお話。

3月ごろから、新しい新芽が出てくる。
この時期からのよもぎは柔らかくて美味しいんです。

どうやって食べる?と難しく考えないで。
いろいろ楽しみましょう。

私なら、やっぱりまずは天ぷら。
そして、チヂミ、ナムルにしたり、意外かもしれないけどサラダにも。

生が苦手な方は、炊き込みご飯にしたり、王道のよもぎ餅なんても美味しいです。

子供の頃、春頃になると母と一緒によもぎを摘んで、よもぎ団子を作りました。
北海道に住んでいたのですが、アイヌ語ではよもぎのことをノヤと言います。
さまざまな病気の薬にしたり、強い香りは病魔を追い払う力があると信じられ、呪術的にも使われていたということです。

神聖なものでもあったんですね。

また、油との相性がいいので、オリーブオイルでさっと炒めてお醤油を回しかけてもいいし、塩で味を整えても美味。

乾燥させてお茶にするというのもおすすめです。
お茶の場合は、日持ちするので柔らかい時期じゃなくても楽しむことができると思います。

沖縄ではよもぎのことを「フーチバー」というそうで、レシピ検索をするときに「フーチバー料理 レシピ」で探すといいですよ。

そして、これはお伝えしなくちゃいけないことがあります。

よもぎを採取するときの注意点です。
よもぎの近くには、よく似た野草で根っこにアルカロイド系の猛毒を持つ「トリカブト」が生えていることがあります。
間違えて食べてしまうと、最悪死亡する危険があるので、見分け方をしっかりと覚えてください。

見分け方は簡単です。

よもぎ:葉っぱの切り込みが深い
    葉っぱの裏側に産毛が生えていて白い
    よもぎの香りがある

トリカブト:青紫の花が咲く
      葉っぱの切り込みが浅い
      葉っぱの裏側に産毛がなく、ツルツルしている
      香りがない

見たらすぐにわかる違いなので、ここをしっかり覚えて採取してね。

もうちょっと切り込んで
よもぎの成分の話

よもぎには強力な抗癌作用のある「アルテミニシン」があります。
この強力さといったら、癌細胞を死滅させてしまうほどの強さなんです。

1958年 小島保彦博士(元東京大学伝染病研究所)が、癌のマウスによもぎの抽出液を30日間投与し続けた結果、癌が減少したのです。
この研究で、インターフェロン(ウィルス抑制因子)を発見します。
インターフェロンを高めるために、リンパ球などを活性化したことで、癌が減少したのです。

その後、このアルテミニシンの発生には、一人の中国人科学者の偉大な功績があります。

1930年生まれ 中国南部出身 屠呦呦(トゥ・ヨウヨウ)女史です。
ハマダラカという蚊が媒介になり、マラリア原虫が肝臓で増殖し、赤血球を破壊してしまう恐ろしい病気「マラリア」に対する薬の開発を命じられたトゥ・ヨウヨウ氏は、中国の約1,700年前に書かれた古文書にあった「肘後備急方」に書かれていたことに注目します。

そこには、マラリアの薬として、「青蒿(和名:クソニンジン)一握以水二升漬絞取汁盡服之」(一つかみのクソニンジンを水2升に浸し、絞り取った水を飲むこと)と記されていた。
これを得て、薬効高いこの野草から、成分を抽出するのですが、最初は高温で抽出していたため、成分が変性して安定しなかったことに氣づくのです。
トゥ・ヨウヨウ氏は、低温で抽出することで安定したアルテミニシンの抽出に成功するのです。

これが、1972年のこと。
この大きな功績から、2015年に中国人初、そしてアジアでの女性初の生理学・医学賞のノーベル賞を受賞者となりました。

すごいですよね!💓

それまでマラリアの薬はあったものの、副作用が強いものでした。
トゥ・ヨウヨウ氏の開発したアルテミニシンの抗マラリア薬は副作用が少なく安く作ることができ、効果の高いものなのです。

日本ではあまり、アルテミニシンは知られていません。
ただ、最近ではアルテミニシンに耐性を持つ原虫が出てきているということもあるそうなので、感染症と人間の戦いはこれからも続くのではないかとも言われています。

このアルテミニシン、抗マラリア以外にも腫瘍マーカーが低下するほどの強力な抗がん効果が期待できる。

癌細胞をアポトーシスさせてくれるのです。
アポトーシスというのは、免疫を介さなくても変性した細胞が自殺死に向かうことです。

アルテミニシンの凄いところは、正常細胞には手を出さず、癌細胞を選択的に殺してくれるのです。
細胞間のコラーゲンを強化し(ビタミンCも必須)、癌の転移を阻害してくれます。

なぜ、癌細胞がアポトーシスするかというと、ガン細胞は鉄を好むのでアルテミニシンが選択的にがん細胞に侵入すると、鉄に働きかけて活性酸素(フリーラジカル)をその中で発生させることでアポトーシスさせるのです。

よもぎ属の植物は300種類以上あり、先ほどご紹介した青蒿(アルテミニシアアニワ 和名:クソニンジン)、日本のよもぎはアルテミニシアインディカと言います。

重金属の鉛の排出効果もあります。
これは、植物の持つクロロフィルを他の植物に比べて、よりスピーディかつ強力に働かせるからなのです。

凄い野草だということ、伝わったでしょうか?

体を切る外科手術(特に縦に切るケース)にはよもぎ蒸しが良いとされていますし、生理痛の方にもぐさを包んで当てるのも効果的だそうです。

道端にも生えている身近な野草 よもぎ。

よもぎ様といってもいいくらい、素晴らしい野草です。
この魅力、伝わればいいな。😀

最後に、ひとつ忘れてはいけないこと。
野草を見つけた時、取り過ぎてしまわないこと。
いくら生命力の高い野草といえども、根こそぎ取ってしまったり、同じところで取ってしまわないように。

育む力をちゃんと残しながら、ありがたくいただくことが大切です。
そこんとこ、よろしくー!

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